(付録)タスクの各項目に関して

はじめに

 プロジェクトで行う作業の最小単位をタスクと呼びます。 タスクには以下のような項目が存在します。 本付録ではタスクの各項目について詳細な説明を行っています。

活動種別

 プロジェクトで行われる活動の種別は大きく次の3つに分類されます。

生産活動

 成果物を生産する活動のことです。生産活動は以下のような特徴を持ちます。 生産活動は、成果物の仕様決めを行ったりなどで成果物に対する打ち合わせを行う プロダクトコミュニケーション(CM)と 成果物の開発の作業を行うプロダクトワーク(PW)に分けられます。

品質活動

 品質活動は生産活動によって混入された成果物の欠陥を検出・除去し、 成果物の品質を向上させる為に行う活動のことです。品質活動は以下のような特徴を持ちます。 品質活動は、欠陥を検出する為に行う欠陥検出活動(DD)欠陥除去活動(DR) に分けられます。

管理活動

 管理活動(MW)は、プロジェクトをスムーズに進行させるために、品質活動や生産活動を 管理する活動のことです。管理活動は以下のような特徴を持ちます。 また、報告などの純粋な管理活動ではなく、メンバーの能力向上の為の活動は、 トレーニング(TR)と定義しています。

[コラム] 活動種別の分類の理由
このような活動種別はPMBOKなどのプロジェクト管理に一般的な話ではなく、 COMPASS独自で規定されています。 何故、このような種別にしたのか?その理由を以下に記載します。
  • 大種別に関して
    プロジェクト管理において、実際に成果物を開発する生産活動と、成果物の品質を上げる品質活動、 生産活動と品質活動の管理を行う管理活動は全く異なる次元でみる必要があります。 例えば、大人数になればなるほど、一人あたりの成果物を開発する生産活動の量は減りますが、 コミュニケーションパスの増加により管理活動が増えます。 その為、純粋に工数分人数を増やしたからといって成功する訳ではないのです。 通常、成果物の量が増えると相応の品質活動を行う必要があります。 プロジェクトの規模が大きくなればなるほど失敗する理由の1つとして 「管理活動」と「品質活動」のコストを無視していることにあります。 これらは比例ではなく相乗的に増加してきます。 その為、この種別はしっかりと区別して意識しておく必要があります。 例えば、同様のプロジェクトと比較して、生産活動が非常に多いにも関わらず、 品質活動が少ない場合は、「欠陥が多く含んでいる可能性が高い」と判断することが可能です。
  • 小種別に関して
    小種別ではいろいろな見方が出来ます。例えば、PWとCMの比率によって、 成果物の完成度を測ることが出来ます。 (一般的に仕様が確定するとコミュニケーション(CM)の時間は減り、ワーク(PW)が増えます。 コミュニケーションコストが一向に減らない場合は、仕様が曖昧な可能性が高い!!) DDとDRは欠陥検出率や欠陥除去効率を出すのに有効です。

以下の表は、上記の説明に従って活動種別を整理した表になります。 この表で記載されている活動コードとは、COMPASS-ITSの各画面で用いられる、 2文字の英字で表される活動種別の略称のことです。

活動コード
活動名
定義
CM
コミュニケーション 成果物の仕様決めなど成果物に対する打ち合わせを行う活動。
明確な会議でなくても仕様を詰めたりする為に会話する活動もこれ。
PW
プロダクトワーク 成果物の設計や実装など成果物の開発を行う活動。
設計書を記載したり、コードを記述したりする活動がこれにあたる。
DD
欠陥検出活動 成果物の欠陥を検出する活動。
主な活動としてテストやレビューがある。
DR
欠陥除去活動 成果物の欠陥を除去する活動。
実装でもテスト後のリワークなどはこれにあたる。
MW
管理活動 プロジェクト管理を行う活動。
進捗ミーティングや日報や週報などの作業報告はこれにあたる。
TR
トレーニング プロジェクトメンバーの能力を向上させる活動。
プロジェクトで用意される教材を使った自己学習もこれにあたる。
また、トレーニング受講者だけでなく講師の活動も含まれる。

作業ステージ

 通常、成果物はいきなりぱっとできるものではなく、様々な段階(ステージ)を経て 開発されるものです。作業ステージとは、成果物に対する作業の段階を表しています。

[コラム] プロジェクト管理レベルの作業ステージ
上記で説明した通り、成果物の作業ステージは、通常、要件開発〜リリースまでしか存在しません。 しかしながら、COMPASSでは上記で説明した作業ステージ以外に、
  • プリセールス
  • プロジェクト計画
  • プロジェクト終結
という作業ステージを設けています。 この理由として、成果物の作業ステージは開発フェーズしか網羅していないと言うのが原因です。 成果物の開発作業を行うのが開発フェースなので当然と言えば当然なのですが、 プリセールスやプロジェクト計画、プロジェクト終結の作業も集計したいと意図もあり、 上記のようなフェーズの概念を作業ステージとして取り入れています。 これによって、プロジェクト内の全ての活動を作業ステージで表すことが可能になります。

以下の表は、上記の説明に従って作業ステージを整理した表になります。この表で記載されているステージコードとは、COMPASS-ITSの各画面で用いられる、2文字の英字で表される作業ステージの略称のことです。

ステージコード
ステージ名
定義
PS
プリセールス 案件受注段階。
通常、プロジェクト開始前に行われる。
PP
プロジェクト計画 プロジェクトの計画段階。
プロジェクトの計画作成や見積もり段階などがここにあたる。
RD
要件開発 要求を聞き出し、要件を開発する段階。
成果物の要求を決定する段階はここにあたる。
AD
アプリケーション設計 ソフトウェアの基本的な部分の設計を行う段階。
アーキテクチャの構築やインタフェース設計などがここにあたる。
CD
コンポーネント設計 コンポーネントの詳細な設計を行う段階。
コンポーネント内部のクラス設計などがここにあたる。
IP
実装 設計に基づいて実装を行う段階。
プログラミングを行う段階がここにあたる。
また、クラスレベルでの単体テスト作業もここ。
CT
コンポーネントテスト コンポーネント設計に基づいたテストを行う段階。
AT
アプリケーションテスト アプリケーション設計に基づいたテストを行う段階。
コンポーネントの結合テスト作業がこれにあたる。
ST
システムテスト 要求に基づいた成果物が作成されているかをテストする段階。
RS
リリース 顧客への納品を行う段階。
PC
終結 納品が完了し、プロジェクト終結を行う段階。
終結会議などはここにあたる。

タスク種別

タスク種別は、タスクの種類を表すものです。 タスクは、活動種別や作業ステージでも分類されますが、 もっと詳細にタスクを分類したい場合や、タスクを異なる軸で分析したい場合に、 タスク種別を使用することができます。 COMPASSではタスク種別の切り方を規定していませんので、 プロジェクトで自由に規定することが可能です。 尚、COMPASS-ITSの各画面で用いられるタスクIDとは、タスク種別の識別子のことです。

成果物種別

成果物種別は、成果物の種類を表すものです。 タスクを、そのタスクを実施した結果作成される作業成果物の種別によって分類することで 成果物に対するタスクの分析を行う事が可能になります。 COMPASSでは成果物種別の切り方を規定していませんので、 プロジェクトで自由に規定することが可能です。 尚、COMPASS-ITSの各画面で用いられる成果物IDとは、成果物種別の識別子のことです。

おわりに

定量的な分析を行う上でタスクを適切に分類することは極めて重要です。 COMPASS-ITSでは、日々入力されるタスクを自動集計し、グラフ化する機能も存在しますので、 プロジェクト分析に有効なタスク種別/成果物種別を考えてみて下さい。

定量的な分析でプロジェクトを客観的に把握しよう♪