見積り手法 試算見積り
はじめに
見積りとはシステム開発に必要なリソースを的確に把握すると同時に、プロジェクトの推進体制についてユーザに納得してもらい、成功を確約する作業に他なりません。その意味で、見積りにはプロジェクトの成否がかかっていると言っても過言ではないほどです。このガイドラインでは試算時に見積りをより正確に行うための手法に重点をおいて述べます。
試算見積りの目的
試算見積りの目的はユーザがシステム予算を確保するための基礎となる見積り時に主に使用します。ユーザのおおまかなシステムの目的などのヒアリングを行い、工数・期間・コストなどを算出する。
試算見積りの手法
見積りの手法としては過去実施した類似プロジェクトの実績に基づき行う類似法とFP試算法を使用した規模からの見積りの両方または片方のみの見積りで行います。
類似法での試算見積り
- 過去の類似プロジェクトの自責を基に類似点や差異を比較し、類似部分の実績値(工数やコスト)を適用して見積もる方法である。
- 類似プロジェクトの適用には、開発業務や機能、開発方法、行程、開発言語などの類似性を細かく比較・分析して類推して行う。
- 類似プロジェクトが存在する場合には、簡単に見積れ、信頼度も得られるため効率的である。
- 類似プロジェクトが存在しない場合には効力を発揮できない。
- また、差異部分は別途見積もる必要がある。
- 規模推算モデルとして以下の式がある。
新システムの規模 = 類似システムの規模 × (新システムの機能数 ÷ 類似システムの機能数)0.678
※0.678は類似法の経験値
FP法試算法での試算見積り
FP試算法による見積りは以下の手順にて行う。
- データファンクション(ILF,EIF)の数を決定する。
- アプリケーションの未調整FP値を以下の方法で求める。
FP試算値(FP)= 35 × ILFの数 + 15 × EIFの数
FP法の詳細な説明に関しては別資料となる『ファンクションポイント法での見積り』を参照。
試算見積りでの注意事項
試算見積りはあくまでもユーザの予算取り等の為に行うものである、この見積りが正式な見積りのごとく扱われないよう、またユーザにも認識して頂くようにに十分に注意する必要がある。
おわりに
見積りはたとえ試算的な見積りであっても経験や勘だけに頼らず、正しい手法を用いて精度を上げてユーザの信頼及びプロジェクトの成功に結びつけるように進めます。